子どものやる気を引き出すには?「あなたはどうしたい?」が可能性を動かす

子育て

「この子、もっとできるのにな」

子どもと関わっていると、
そんなふうに思うことはありませんか?

もっと頑張ればできる。

もっと上を目指せる。

そんなふうに感じるのは、
その子の可能性を信じているからこそです。

でも、少し考えてみたいことがあります。

その子が行きたい場所と、
私たちが連れていきたい場所は同じでしょうか?

今回は、家庭教師での出来事を通して気づいた、
子どものやる気と「自分で選ぶこと」のお話です。

大人の私たちにも、
きっとつながる部分があると思います。

今年の2月頃から、
中学2年生の男の子の家庭教師をしています。

受け持った当初は、
数学がとても苦手でした。

でも、一緒に勉強を重ねるうちに、
6月のテストでは手応えを感じられるようになりました。

学校の先生からも、
「数学が一番伸びたね!」
と言われたそうです。

本人のやる気も、
どんどん上がっていました。

夏休みには、
通常よりもたくさん一緒に勉強しました。

ところが、9月のテスト前。

なんだか様子が違うのです。

簡単な問題は解ける。

でも、少し難しい問題になると、
なんとなく面倒そう。

「もう、これくらいできればいいんじゃない?」

そんな雰囲気が漂っていました。

私は、
「いやいや、あなた、
もっとできるでしょ!」
と思っていました(笑)。

でも、そこで気づいたのです。

このまま私が一生懸命教えても、
なんだか能率が悪い。

もしかして、私と彼で
目指しているところが違う?

そう思って、
一度勉強を止めました。

「ねえねえ、今回のテスト、
どんな感じにしたい?」

すると彼は、
「平均点以上は取りたい」
と答えました。

なるほど。

平均点以上なら、
もう取れると思いました。

だから、

「このあと30分あるけど、
私が教えることはあまりないかも。
一人で復習してもいいし、
わからないところを一緒にやってもいい。
どうする?」

と伝えました。

そして、もうひとつ。

「私は、あなたなら
80点以上を目指せると思ってるよ」

とも伝えました。

私が目指しているところと、
あなたが目指しているところが違う。

だから、一度確認したい。

そんな気持ちでした。

そこで、もう一度聞きました。

「私たち、結構勉強してきたけど、
どうなりたいんだったっけ?」

「あっという間に中3になって、
そのあと高校生になるよね。
どんな高校生になりたい?」

すると彼は、
少し考え始めました。

そして、
「やっぱり、おれ、
数学を得意教科にしたい」
と言ったのです。

そこで私は、
彼がやっているバスケットボールに例えて話しました。

「たとえば、バスケのチームが
2つあったとするよ。
ひとつは、
みんなが1回ずつシュートを決められたらいい。
試合で1勝できたらいい。
というチーム。

もうひとつは、
絶対に全国大会に行きたい!
というチーム。

この2つのチームって、
練習の仕方は同じだと思う?」

彼は、
「違うと思う」
と答えました。

そうだよね。

どこを目指すかによって、
先生の指導も変わります。

練習のメニューも変わります。

練習への向き合い方も変わります。

だから私は、
「私はね、
あなたを全国大会に連れていけるよ。

でも、ドリブルができればいいなら、
ドリブルだけできるようにもできる。

どっちでもいいんだよ。

あなたがどうしたいかに、
私は合わせるから」

と伝えました。

私は、
「全国大会に行こうよ!」
とは言いませんでした。

あなたの人生だから。

だから、
「あなたの希望を教えてね」
と伝えたのです。

すると、
「え。俺か」
という感じになって(笑)。

そのあと、
「やっぱりB問題までやる!」
と言いました。

「いいじゃん!じゃあ、やろう!」

そこからの30分。

さっきとは、
まったく違う姿勢で取り組み始めました。

集中して、
一生懸命に問題を解いていました。

何が変わったのでしょう。

本人が、自分で決めたからです。

人から言われたからではなく、
自分で「こうしたい」と思った。

そこから、行動が変わったのです。

私は20年以上、
教育の現場で子どもたちと関わってきました。

だからこそ、
子どもたちの可能性を本気で信じています。

「この子、もっとできるのになぁ」

そう感じることは、
今までもたくさんありました。

でも、今回改めて思ったのです。

私がどこまで伸ばせるかと、
本人がどこまで行きたいかは別。

大人には、
子どもの可能性が見えることがあります。

だから、
「もっと頑張ればいいのに」
「もっと上を目指せるのに」
「こんなにできる力があるのに」
と思ってしまう。

でも、大切なのは、
「あなたは、どうしたい?」
なのではないでしょうか。

私たち大人が決めたゴールに、
子どもを連れていく。

それだけが教育ではないと思うのです。

子ども自身が、
自分の可能性を知る。

そして、
自分の行きたいところを選ぶ。

そのために大人は、
たくさんの選択肢を見せてあげる。

「こんなところまで行けるよ」
と、可能性も伝える。

そして、その子が選んだ方向へ、
力いっぱい背中を押してあげる。

私は、そんな大人でいたいと思っています。

これは、子どもだけではありません。

大人も同じです。

「もっとこうした方がいいよ」
「あなたならもっとできるよ」
「こっちを選んだ方がいいよ」

誰かからそう言われることがあります。

反対に、私たち自身も、
誰かにそう言ってしまうことがあります。

でも、
その人の人生は、その人のもの。

そして、
私の人生は、私のもの。

どこまで行くのか。

何を目指すのか。

どんなふうに生きたいのか。

自分で選んでいい。

「私は全国大会まで連れていけるよ。
あなたは、どこへ行きたい?」

そんなふうに言える大人でいたい。

それが、私が大切にしている在り方です。

子どもの可能性を伸ばしたい。

そう思うときこそ、
大人が先にゴールを決めないこと。

「もっとできるよ」と伝える。

選択肢を見せる。

可能性を信じる。

そして、
「あなたは、どうしたい?」
と聞いてみる。

そこから、
本人の中にある気持ちが動き始めることがあります。

今回の男の子も、
自分で「数学を得意教科にしたい」と決めたことで、
そのあとの行動が変わりました。

自分の人生を、
自分で選ぶ。

これは、子どもだけの話ではありません。

私たち大人も、
「私は本当はどうしたい?」
と、自分に聞いていい。

誰かが決めたゴールではなく、
自分が行きたい場所を選んでいい。

あなたは、あなたのままで素晴らしい。

そして、もっともっと、
自分の可能性を発揮していいのです。

子どもと関わっていると、
「もっとできるのに」と思う瞬間があります。

でも、その子の人生を生きるのは、
その子自身なんですよね。

選択肢を見せること。

可能性を伝えること。

そして、本人が選んだときに、
思いきり背中を押すこと。

そんな大人でありたいと、
今回の出来事を通して改めて感じました。